街中で信号待ちをしていたら、「あの男」が不意にこちらに
向かって歩いてきた・・・
もう何年ぶりだろうか・・「はっ!」とした
最初に街角でみかけてからは18年以上たっている
その後も何年かに一度街角で歩いているのをみかける・・
その異形の姿からすぐ「彼だ」とわかる
髪は白髪でゆうに肩を超え、縮れて伸びている
服は鼠色で袖口はボロボロにほころび
ズボンらしきものは腰で紐をまき、すそは歩道をこすって
歩いている
しかしその雰囲気は異彩を放っている
目は爛々として、鼻筋はとおり
すこし前のめりの姿勢で、まるで獲物を狙っているようだ
人の住めない異世界からでてきた生き物のようだ
最初であったころは歌舞伎の「連獅子」が舞台をゆく・・を思わせた
しかし、この18年の歳月で
彼は10cmほど背がちじんだように見え、
タクシーが横を通ると、反対側の僕からは一瞬、彼の姿が消えるほど
歩く姿も右手に折れた槍をもち落ち武者が山道をゆくがごとしだった
この18年の彼の日常は想像を絶するとおもう
街中での冬をどうやって越しているのだろうか・・
山で越冬する動物のようにどこかに身をかくし、息を
潜めて春をまっているのだろうか・・・

初めて彼に出会ったとき、思わず100円の「缶コーヒー」
を彼に差し出してから18年がたっていた・・・彼は路上生活者だった
昔のブログhttp://lucasan.blog.fc2.com/blog-entry-152.html
彼が公園の角を回り身体が見えなくなると
きっと黒塗りのリモジンが彼を待っていて
蝶ネクタイの運転手が後部座席のドアを開けて
一礼し、彼を待っているに違いないと・・確信をもって見送っている
僅か100円の缶コーヒーがきっかけとなり、彼をず~と見ている
僕はただただ彼の人を超越した「姿」に感動している


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